平成20年8月26日午前6時5分頃、我が家の末猫である
チビ(アビシニアン・♂・5ヶ月と26日)が虹の橋へと
旅立ちました。同年3月1日にこの世に生を受けて、わずか
5ヶ月と26日。6ヶ月を目前にしながらこの世を去りました。
死因は不治の病である猫伝染性腹膜炎による衰弱死。

悪夢の始まりは、遡ること7月20日(日)の夕方。チビは
発熱しました。当初は夏バテか風邪によるものだろうと考え
ましたが、ただでさえ暑いこの時期、急いで病院に連れて
行きました。夜9時を過ぎての診察。触診と血液検査を行い、
先生は開口一番で「タマネギとか、食べさせたりしません
でしたか?」・・?タマネギ?そんなもの食べさせてはいない。

血液検査の結果は、ヘマトクリット値がかなり低く、中程度の
貧血が出ており、新しい血液が造られて無いようだとのこと
でした。また、重度の高蛋白が検出されていることから、おそらく
猫伝染性腹膜炎だろうとの仮診断がくだされました。

・・・猫伝染性腹膜炎。まさか、嘘でしょう?チビが、FIP
ですって・・・?あの、稀な病気ではあるけど、発症したら
ほぼ死に至る恐ろしい病気のFIP・・・?俄かには信じられ
ませんでしたが、ハンマーで頭を思いっきり殴られたかのような
絶望を感じました。目の前には熱はあっても健康にしか見えない
チビが不安そうにしています。この可愛いチビが死ぬ・・・?

猫伝染性腹膜炎。以前から、この病気は多少知っていました。
お気に入りのブログにいたかわいい猫ちゃんが、このFIPで
亡くなられたのを見ていたから。あまりに可哀想過ぎる残酷な
病気。ねぇ、なんでこの子が?なんで、チビがこの病気になら
ないといけない?なんで?何か、悪いことでもしたというの?

絶望を抱えて家に帰り、寝る間も惜しんで必死でネットでこの
病気を調べました。どのサイトを見ても惨憺たる結末を迎える
内容でした。この病気で愛猫を亡くした方の多くが直面する
残酷な現実。それでもFIPであって欲しくない。そう祈って
いたのに。2度目の血液検査で蛋白分画とコロナウイルスの
抗体価を調べたら・・・

見事なまでのM字分画。(FIPの疑いがある場合、分画の
グラフがM字のように見えるらしい)高γグロブリンとかいう
状態らしい。ウイルスと戦っているんだと。そしてこのFIPは
詳しいことはわかっておらず、致死率が恐ろしく高い不治の病。
ワクチンも治療薬も開発されていない恐ろしい病気を、チビは
発症してしまった。

それからは病気の進行を抑えるためにインターフェロンと
抗生物質をメインに治療を開始しました。治療といっても
治療じゃない対症療法。抗生物質ってウイルスには効かない
んじゃなかったっけかなぁ?と思いつつも毎日強い薬を投薬
して頑張りました。美味しくないのでしょう、チビは経口
投薬をひどく嫌がりました。

助からない。ほぼ100%助からない病気なのに、チビは投薬に
耐えました。もちろん、口から少しこぼすこともありました。
耐えて耐えて耐えました。相変わらず高熱が続き、時折貧血症状。
そんなだから、チビは遊ばなくなった。いつもじっと香箱座りを
していた。手足を折りたたんでじっと、じっと。。

他の2ニャンは元気なので遊んでいました。そんな彼らを見て
チビも本当は遊びたかっただろうと思う。遊びたいのに体が
言うことを利かない。だからいつもいつも遊べないでいた。
でも、人が大好きで甘えん坊で寂しがりやのチビは、いつもいつも
ふとんをモミモミしていました。おかあさんが、恋しいんだろうか。

チビのお母さんはチビが今病気で苦しんでいるなんて、
知らないんだろうな。ねぇ、チビが苦しんでいるの、助けたいのに
助けられないもどかしさがすごくすごく悔しいよ。チビはお腹を
なでてほしくて、いつも仰向けになるんだよ。でもだんだん
腹水が溜まりはじめてきてね・・・仰向けになるのも
苦しかっただろう。でも、なでてもらうのが嬉しくて、いつも
仰向けになるんだよ。

もし、私がチビの病気とか苦しみを変わってやれることができた
なら、変わってやりたいのに。血が足りないのなら私のこの濃い血を
いくらでもあげるのに。それが、できない。悔しい。悲しい。
本当は、FIPではありませんでした!って、言ってくれないかなぁ。

そして8月に入りお盆を過ぎた頃からチビはご飯を食べなく
なりました。みるみる、痩せていきました。それまでは目立たな
かった背骨が浮き始め、顔周りの肉も削げてきました。それでも
チビは投薬に耐え、注射にも耐えました。

そして8月24日チビは黄色い粘液を吐いていました。おそらく
腹水の一部でしょう。いよいよヤバイと25日に病院い連れて
行きました。あとはもう、見守るしかないって。私は、何となく
25日から26日にかけての夜が峠かなという気がして添い寝を
しました。ガリガリなのにお腹を膨らませたチビは、フラフラに
なりながらも私の手元にきて、私の手にあごを置いてしばらく
寝ていましたが、呼吸も苦しいのでしょう、落ち着かない様子
でした。

思えば、うちに迎え入れた日から、チビは人間に甘えるのが
大好きな子でした。遊び疲れると顔を思い切りこすり付けて
きてべったりくっついて擦り寄ってくる子でした。そのまま
添い寝になることも多々ありました。こんな、かわいいチビが
何の罪もないのに苦しんでいるのです。なぜ!?なんでチビが
この病気で苦しまないといけない??

そして26日の朝、チビは生きていました。よかった。。
でも、とても呼吸が速く荒く苦しそうでした。もう、今晩までは
持たないだろうな・・・そう思って、ちょっと支度をしている
つかの間に、チビは呼吸を止めひっそりと永久の眠りについたの
でした。

目をあけたままのまだ温かい体が動くことはもう、ありません
でした。なんで死ぬんだろう。なんで動かないんだろう。
なでました。なでて動かそうとしてもチビは動かない。
チビは逝ってしまった。虹の橋へと旅立ってしまった。
もう、目の前でご飯をおねだりするチビを見ることはできない
んだと思うと悔しくてしょうがない。

その日のうちにチビを火葬し、今はお骨がみんなの集まる
リビングにあります。寂しがり屋だったから、みんなの
いるところがいいね。

チビ。今まで苦しかったでしょう。でももう、苦しくないよ。
虹の橋のたもとで、たくさん遊んで少しだけ待っていて欲しい。
そして、私ではなく、おまえを愛した私のカカアがいつの日か
虹の橋のたもとに逝った時に、一緒に虹の橋を渡って欲しい。
それが、私からの願いです。

今までありがとう。チビ。そして、さようなら、チビ。
大好きでした。