とあるアパートでクレームがあり、その内容に管理会社の人も
私もビックリしてしまいました。それと同時に人間の身勝手さを
垣間見ることになりました。

そのクレームというのは、アパートの住人で、「同じ建物の
○○○号室の人が猫を飼っているらしく、すごく臭いにおいが
するので何とかしてほしい」というものでした。ペット禁止の
アパートで猫を飼っているという程度のクレームはまぁ、
それほど数はないにしてもありうる話だろうことは察しがつく
のですが、どうもそれだけではないようです。

その問題の住人に管理会社の人が注意をするべく電話をした
ところ、なんと9匹もの猫が2DKのアパートで飼われて
いるというのです。放し飼いでメス猫が2回出産をしてしまい、
親猫含めて9匹になってしまったのだと。

で、ペット禁止のアパートで9匹の猫を飼っていることだけ
でも驚きなのに、なんとその飼い主、クレームを受けて
9匹の猫を「管理会社で処分してほしい」と、ありえない
要求をしてきたというのです!

この飼い主は猫に避妊手術を施さずに好き勝手産ませて
(避妊することの賛否はあるけど)おいて、飼えなくなり
自ら動いて誰か猫を飼える人を見つける努力もせず、
その責任すべてを放棄して、管理会社に押し付けるまさに
ウルトラDQNな人間なのです。

そしてこの住人は家賃を滞納していたそうで、猫を処分する
のに、1匹2,000円×9匹の合計18,000円が払えないのだと
いうのです。自分の生活も危ういというわけです。ちなみに
この住人は62歳だとか。

そして管理会社の人はしかたなく、猫を保健所で処分して
もらおうことを決め、その猫を引き取りに行ってみると、
部屋の中が凄まじいことになっていたそうです。猫はつめを
とぐ動物ですから、柱が3分の2くらいまで削られてしまって
いたようでした。もちろん壁紙もめちゃくちゃ。

それよりも可哀想なのは9匹の猫たちです。そのうち5匹は
今年生まれたばかりの想定1ヶ月くらいの茶トラの赤ちゃん
でした。処分に行く途中で管理会社の人に寄ってもらい、
見せてもらいました。大人の猫が4匹、そのうち母猫は出産
して間もないせいか近づくとフーシャー威嚇されました。そりゃ
無理からぬ話です。チビ猫5匹は母猫から離されていたので、
母猫は心配そうでした。

チビ猫たちがピーピー鳴き声をあげて母猫を呼ぶと、それを
聞いた母猫がいたたまれないのでしょう、それに応えて
ニャーニャー鳴くのです。管理会社の人は運ぶ途中可哀想で
仕方なかったそうです。

9匹すべて助けてあげたいけど、やはり現実は難しいでしょう
せめて5匹のチビ猫だけでも貰い手がないかとチビ猫だけ
おろしてもらい、とりあえず屋内に運びました。キトンブルーの
まだ抜けない可愛らしい日本猫。うちにはすでに3匹いるので
これ以上増やせない(スペースの問題で。。もっと広い家なら
引き取りますよ!)ので他の同僚にあたってみたところ、
2匹引き取れる人と、3匹引き取れる人が見つかりました。

5匹の命は何とか助かりましたが、母猫と3匹の成猫は残念
ながら、本日、動物センターで処分され、虹の橋へと旅立ち
ました。人間の身勝手な行為により強制的に命を絶たれたのです。
炭酸ガスによる窒息死を余儀なくされたのです。

私はこの件にかかわり、命の選別をしてしまいました。すごく
罪悪感を覚えます。子猫なら貰い手があるだろう・・・そんな
理由で、体が大きくなってしまったというだけで保健所行き。。
悔しいです。助けてあげられなかった。

本来この悔しさと悲しさと無力感を責任もって受け止めるべきは
飼い主自身ではないのか。そもそもペット禁止アパートで契約
違反を犯してでも猫を飼うというのなら、完全室内飼いに徹して
避妊手術を施すべきではなかったのか。そして最後までその猫の
命に責任を全うすべきではなかったのか。

62歳の老人だからといって、このことが許されるとでもいう
のか?飼えなくなったというのなら、処分するしかないという
のなら、自らセンターに問い合わせをして処分の依頼をするべき
ではないのか?そういう判断をせず、全ての責任から逃げたこの
飼い主には相応の「処分」が下されてもいいはずだ。

私は本当なら命を「処分」するなんて言葉を使いたくはないです。
でも処分という言葉を使いました。全て人間の身勝手が引き起こ
した、悲しい現実がここにあります。

5匹のチビ猫が、母猫たちの分まで幸せになれますように。
悲しい運命をたどる猫たちが1匹でも減りますように。
私は家にいる3匹のかわいくってしょうがないニャンコどもをめいっぱい
かわいがりました。