秋も深まる11月のある夜のこと

    コンビニからの帰り道

 近くの公園の横を通りかかると

 背の高い、形の良い木々が

 その存在感を主張するかのように

 だけど静かに佇んでいることに気づきました


 葉の色を赤や茶色、黄色に染めた木々が

 ぼんやりと薄明るい街灯に照らされて

 歩を進めると少しづつ違う表情を見せるのです




 その木々の名を欅といいます




 その中でもひときわ目を惹く美しい樹形をした

 1本の欅の木が私の目の前に現れました



 樹高は20mはあるでしょうか 1本の太い幹から

 放射状に延びた枝の先には黄色い木の葉が

 まるでその手を今か今かと振り解かんばかりに

 風の中を踊っているようでした




 時折頬を撫でるひんやり涼しいやわらかな風が

 そこにある葉をついには落としてしまうのではないかと

 心配にも似た心境で じっと眺めていました 



 その欅の木の下に足を運び、ふと上を見あげると

 風がふわりと踊りはじめ 黄色い木の葉が私の上に

 ひらりひらりと舞い降りてきたのです



 木の葉の散り際の何と美しく儚いことでしょう

 私はその光景をとても美しいと思いました

 

 肌寒い早春の頃には 枝先から小さな葉がほころびをみせ

 寒さ和らぐ春の頃には 細かな無数の葉が重なりあい

 春真っ盛りの頃には 青々とした新しい葉を揺らし

 暑さを感じる初夏の頃には 伸びやかに青葉を巡らせ

 梅雨の頃には じっと雨にぬれて

 梅雨明け盛夏の頃には 力強い濃緑の葉を茂らせ

 暑さ和らぐ晩夏の頃には ツクツクボウシと戯れ

 涼しさ感じる初秋の頃には 少し疲れた表情を見せ

 深まる秋の頃には ゆっくりと赤や黄色に色づいて

 寒さを感じる晩秋の頃には ひらひらとその葉を落とし

 寒さも深まる初冬の頃には 枝に少しの葉を残すばかり

 身震いのする冬の頃には すっかり葉はなくなり

 身を切る寒さの厳冬の頃には じっと寒さを耐え忍ぶ



 枯れゆく葉を 朽ちていく葉を 私は美しいと思いました

 枯れる前に美しく色づく葉は とても美しいものです

 本当に 美しいものです